レム睡眠行動障害(RBD)について
睡眠障害の場合,寝ている間にさまざまな症状が現れる.
レム睡眠行動障害(RBD)は,特に大人が問題になる症状だ.
睡眠は,レム睡眠とノンレム睡眠に分けられる.
レム睡眠は比較的に浅い睡眠の状態で,全体の10〜20%と割合的には少ないのだが,夢の大半がこのレム睡眠の間に見ます.
レム睡眠の間は通常,体の力が抜けた状態だ.
しかし,この病気では,何らかの原因によって,体の力が緩むことがない.
夢でけんかをしたり,何かに追い掛けられたり,頻繁に暴力的な夢を見ることから始まる.
そして,数カ月〜1年経つと,徐々に睡眠中に大声を出したり,暴力まで振るうようになる.
夢での行動を,実際に同じように行なってしまうのだ.
たまに起き上がる程度の軽い症状なら心配要らない.
しかし,家族や周囲の人に危害を与えるような行動がみられたら,専門科の医師に相談して治療する必要がある.
RBDは,認知症の夜間せん妄と誤って診断されて,間違った治療法を受け悪化する場合もあるようだ.
またRBDは,パーキソン病や認知症の初期段階の症状が現れる場合もあるから,注意が必要だ.
RBDの治療としては,抗てんかん薬の一種のクロナゼパムや,レム睡眠を軽減させる睡眠薬が効果的とされ使用される.
クロナゼパムは,服用を始めてから1週間程度で,約8割の患者が改善され,異常な行動が減少していく.
異常な行動がみられたら,本人と周りの人が苦しむ前に,早い時期に医師に相談することが大切だ.
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悪夢について
毎日のように,悪夢に悩まされて困っている人もいると思う.
しかし,残念ながら「悪夢」については,医学的には解明されていない.
たいてい,夢は誰でも見ているのに,覚えていることは少ないものだ.
夢の内容もいろいろあり,悪夢の方が特に覚えているので,多くの場合が悪夢となるのだ.
悪夢というものは,病気ではないので,治療の対象にはほとんどならない.
しかし,レム睡眠の状態の時が,夢を見る割合が多いことから,悪夢をよく見るということは,睡眠の質が悪くなっていると考えられる.
悪夢を頻繁に見る人の割合は,5〜10%と報告されている.
その原因としては,精神的なストレスやトラウマがある場合,レム睡眠が増えて睡眠自体が障害されている場合などだ.
ストレスやトラウマがある場合は,レム睡眠が増えることによって,睡眠障害が起き,悪夢を見ることになる.
レム睡眠が増える原因は,精神的なものとは別に,生活面に問題があるようだ.
それは,寝室の温度や湿度が適していなかったり,生活のリズムが乱れているなどだ.
ただ問題なのは,このような原因がはっきりと見つからないことが多いことだ.
悪夢に対しての効果的な対策は,あまりないようだが,明確な原因がはっきりしている場合は,精神療法を行うことによって効果があるようだ.
また,睡眠薬の多くは,レム睡眠を減らす効果があるので,悪夢によってどうしても寝不足になっているようなら,睡眠薬を服用することで効果が出ることがある.
専門の医師に症状をはっきりと伝え,睡眠薬の処方箋を頼むといいろう.
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睡眠時遊行症について
睡眠障害で,睡眠中に現れる症状として,睡眠時遊行症(Sleep walking)というものがある.
これは,いわゆる「夢遊病」と呼ばれるもので,小児の10%以上に現れるという報告もある.
たいていは,とても深いノンレム睡眠の時に現れるので,入眠してか1時間前後に認められる.
発症する年齢は4歳〜8歳くらいで,ほとんどが思春期までには遅くても見られなくなる. このように,ほとんどが心配する必要はないが,てんかんなどの他の病気によって,その症状が現れている場合もある.
また,自宅以外で寝泊りする場合には,事故を起こさないように注意が必要だ.症状がひどい場合には,医師に相談して下さい.
症状が現れて,遊行している時は,起こさないようにしてほしい.
遊行中は,とても深く眠っている状態なので,無理に起こさないで,布団に戻してあげてほしい.
睡眠時遊行症は,正常の範囲内の症状とされるので,症状を抑えるような薬は,ほとんどない.
その原因によっては,抗うつ薬で症状が抑えられた,という報告もあるようだ.
しかし,必ず抑えられるという薬はあまりないようだ.
自宅でできる対策としては,症状が現れる時間が,毎晩だいたい決まっているのなら,その15〜30分前になったら,強制的に起こさせることを5日〜30日くらい続けてみてほしい.
確実ではないだが,それで,治ることもある.
また,症状を悪化させないために,ストレスや疲労をためないようにしよう.
一部の薬によって,症状を悪化させることもあるので,薬を服用するときは,医師や薬剤師に相談しよう.
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