睡眠障害の改善法:睡眠障害の症状と治療

睡眠障害の対処法

適量のアルコールは健康を増進するといわれている.

しかし,寝る前に飲む「寝酒」を続けると,快適に眠ることができなくなることがあるので注意が必要だ.

アルコールを飲むことで,寝付きがよくなることは確かだが,夜中に目が覚めてしまうことが多い.

アルコールを飲むと,眠りの一定のリズムが崩れ,このような現象が起こるようだ.

また,寝酒を習慣にしていると,そのうちに大量のアルコールを取らないと眠れなくなることもありま.

寝付きの悪くアルコールに頼ってしまう人は,健康のことを考えると,睡眠薬を服用することの方が,健康に良いろう.

最近では,作用時間が短い優れた睡眠薬が開発されているようだ.

悩んでいる人は,医師に相談してみてほしい.

人間には体内時計があり,夜になれば眠くなり,朝には目覚めるという活動サイクルをもっている.

朝,目覚めたときに目の中に太陽の光を入れることで,脳の体内時計が感知するのだ.

この時点から,ホルモンの分泌により,一定時間がたつと眠気がくるようになっている.

だから,夜良い寝付きができるためには,朝,たっぷりと太陽の光を浴びることが大切なのだ.

また,昼間には,活動をしっかりとして,身体を適度に疲れさすことも,良い睡眠に効果的だ.

逆に,夜更かしを極端にすることで,体内時計が狂ってしまい,睡眠障害につながる.

また,たとえ生活リズムを守ったとしても,寝る前にカフェインの入った飲み物(コーヒーや紅茶,ウーロン茶など)を飲むと,目がさえて眠れなくなってしまう.

どうしても飲みたい人は,飲む時間と量を気にしながら,ほどほどに飲んでほしい.

さらに,寝る前に喫煙することも,眠れなくなる原因になるので注意が必要だ.

寝ている間は,胃や腸も休んでいるので,寝る前の2時間以内は,食事は極力避けたいものだ.

寝室環境を見直す

睡眠を快適なものにするには,寝室の環境を整えることが,とても重要になる.

明る過ぎたり,周りがうるさかったりすると,脳が刺激されてしまい,うまく眠りに入ることができなくなる.

また,暑過ぎたり,逆に,寒過ぎたりしても熟睡することができない.

だから,部屋の温度・湿度に気をつけることも,安眠の重要な条件なのだ.

寝室は,1日のうちで長い時間を過ごす場所だ.

眠るためだけの部屋だが,リラックスできる空間をつくるためには,インテリアにこだわったり,部屋の雰囲気を工夫してみてほしい.

それだけで,快適な睡眠ができるようになるかもしれない. 夜間は生活音が少なくなり,小さい物音でも入眠できない原因となる.

外の騒音が気になる場合は,サッシを二重にしたり,雨戸を閉めたり,カーテンを厚手のものに替えて,防音対策を心がけてほしい.

家族で協力して快適な空間をつくることが必要なのだ.

また,温度や湿度を調整することも大切だ.

もっとも理想的とされる室温は,夏が25℃で冬は15℃だ.

湿度は,季節を問わず50%といわれている.エアコンなどを使って温度を調節するときの目安は,冷房なら25〜28℃で,暖房なら18〜22℃だ.

ただし,冬場は空気が乾燥するので,ずっと暖房をつけ続けないで,換気や保湿器などで湿度を調整してほしい.

このように,寝室を少し工夫することで,快適に眠ることができる場合もある.

寝室の環境を見直して,自分のもっとも落ち着く,快適な雰囲気の寝室にしてみてほしい.

睡眠障害で受診する前に

睡眠障害で悩んでいるけれど,何科で診てもらえばいいのかわからない,という人は少なくないと思う. 総合病院など大きな病院に行く場合は,精神科や精神神経科,心療内科などが専門なので,そちらで診てもらうといいろう.

近くのかかりつけの病院でも,相談に乗ってもらえると思う.

あなたのことをよく知っていると思うので,生活面でのアドバイスをしてもらったり,場合によっては睡眠薬を処方してもらえるだろう.それでも,症状がなかなかよくならない場合は,睡眠障害を専門としている病院を紹介してもらおう.

病院で受診する前に,自分の不眠の状態を整理してメモしておくと,診察がスムーズに進められる.

眠れなくなったのはいつ頃からか,不眠となった原因はあるか,眠りにつくまでにどれくらい時間がかかるか,不眠以外の別の症状はないか,などが診察で問われる.

これらのことを,整理しておくといいろう.

また,身体の状態でどこか異変がないかも,よく確認しておくと良い. 睡眠障害を訴える人には,寝不足が原因の不眠とは別に,うつ病や日中に強い眠気に襲われるナルコレプシー,睡眠中に手や脚がけいれんする周期性四肢運動障害などの病気の場合もある. 

睡眠中の症状は,自分ではほとんど気づかないことが多いので,家族や周りの人たちに協力してもらって,寝ているときの様子を確認してもらってほしい.

そして,問題のある場合は,その症状を明確に医師に伝えることが大切なのだ.

快適に眠る方法

早く眠らないと,早く眠らないと・・・,と思っていても,お風呂にも入らないといけないし,リビングでゆっくりとテレビも見たいし,友達や恋人とも電話したいし・・・,と考えているうちに,夜はどんどん流れていってしまう.

そして,ベッドに入っても,あまり考えすぎると,なかなか寝つけないこともある.

快適に眠るには,心も体もリラックスしていないといけない.

そこで,快適にグッスリ眠ることができる方法グッズを少し紹介する.

まずは,心地よい香りが眠りを誘う,アロマテラピーだ.
ポプリは,器などに入れて枕元に置こう.
小さな袋にポプリを入れて,枕カバーの中などに入れておくのも良い.
お香やアロマキャンドルは,好みのお香をアロマポットに入れて,自分だけのリラックスできる空間を楽しんでほしい.
お風呂でも,好きな香りの石鹸や,入浴剤を使うことでリラックスできると思う.

足湯をすることもリラックスできる.

また,クラッシックのような,心地よい音楽を流して眠るのもひとつの方法だ.クラッシックでなくても,自分が気に入った曲が一番効果的だろう.

無理に,癒し効果のあると謳われる曲を選んでも,好みの曲でなえれば効果はない.

次は,眠気を誘う飲み物を紹介する. ハーブティーはカフェインが入っておらず,副交感神経の働きを促して,心も身体もリラックスさせます.

ハーブティーは種類が豊富で,風邪の予防にもなるローズヒップティーや,リラックス効果の高いラベンダーはおなじみだ.

そのほかに,カモミールは血行を良くし,鎮静作用もあるのでおすすめだ. また,牛乳にも睡眠を促す効果がある.

牛乳に多く含まれるカルシウムは,イライラを取り除き,精神を安定させる効果もある.

ハチミツを入れてほんのり甘いミルクにしたり,きなこやゴマを入れてみたり,ひと工夫して,あなた好みの癒しドリンクを作ってみてほしい.

睡眠薬服用の際の注意

睡眠薬を服用する際には,いくつかの注意が必要だ. 糖尿病や高血圧などの基礎疾患のある方は,多くの場合が,複数の薬を服用しているので,睡眠薬を服用する際は特に注意が必要だ.

これらの病気で処方される薬の中には,睡眠薬と一緒に服用すると,睡眠薬の分解を遅らせるなどして,強く作用が出てしまうことがある.

他に薬を服用している場合は,医師や薬剤師に相談してほしい.

次は,気をつけなくてはいけない食品だ.

セイヨウオトギリソウやセイヨウカノコソウを主成分としている,ハーブ系のサプリメントを使用するときは,医師に一度相談する必要がある.

また,コーヒーや紅茶,緑茶,チョコレートなどのカフェインが含まれている食品は注意が必要だ.

一部の健康飲料や清涼飲料にも,カフェインが含まれていることがある.

カフェインには覚醒作用や利尿作用があるので,飲む量や時間に気をつけるようにしよう.

また,睡眠薬を飲んでいるときには,お酒を飲まないようにしてほしい.

それぞれの作用が,より強く現れてしまうので危険だ. また,妊娠している方は,決して睡眠薬を飲んではいけない.

睡眠薬は,胎児に悪影響を与える可能性がある.

母親が妊娠中に睡眠薬を常用していて,生まれた赤ちゃんは,睡眠薬の中毒をもって生まれてきた,という報告例が少なくない.

そのような子供は不眠症で,常に落ち着きがなくて,手足が震える,という症状をもってしまう.

昼寝の役割

適度な昼寝をすることは,疲労の回復につながり,ストレスの解消にも大きな効果がある.

スペインなど昼寝の習慣がある国の人たちは,日本人やアメリカ人のように昼寝の習慣をもたない人々と比べると,おおらかで非常にストレスが少なく,心身ともに健康な生活をしている.

猫や犬などの動物は,毎日とてもよく眠る習慣がある.

食事をした後はとくに,横たわって眠っていることが多い.

これと同じように,人間の遺伝子も,昼寝をするようになっているのだ.

昼寝をするなら,15〜20分がもっともよい長さだ.

30分以上だと,熟睡に入ってしまい,スッキリと起きることができなくなる.

そうなると,無理に起こされたことで,とても不愉快な気持ちになり,寝不足のような感覚になる.

熟睡しないためには,昼寝をする前に,コーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲み物を飲むといいろう.

昼寝をするまでに,カフェインを取ることで,起きる頃には効いてきて,スッキリと目覚めることができる.

理想的なのは,コーヒーなどを飲んで10分ほどリラックスし,それから15〜20分程度の昼寝をすることだ.

また,昼寝は午後3時までにしないと,夜に眠くなくなってしまう.

昼寝をうまく活用することで,作業の効率がよくなったり,血圧も安定するので,さまざまな場面での質が高まるだろう.

昼寝をとれる人は,できるだけ毎日習慣的にとろう.

昼寝をする日もあれば,しない日もあるのでは,重要な夜の睡眠サイクルまで乱れてしまう.

また,昼寝が習慣的になっている人は,そうでない人と比較して,アルツハイマー病が発症しにくいという調査結果も出ている.