睡眠障害の弊害:睡眠障害の症状と治療

睡眠障害による影響

睡眠障害になると,日常生活においても,さまざまな影響が起こる.

睡眠障害の影響は,身体面や精神面,そして行動面に現れてくる.

まず,身体面への影響だが,不眠によって体力の低下につながる.

これは,寝ている間に蓄える必要のあるエネルギーを,しっかりと蓄えることができないからだ.

また,睡眠障害により,自律神経やホルモンのバランスが崩れて,免疫力が低下してしまう.

そのため,他のさまざまな症状を引き起こしたり,持病が出やすくなることもあるので注意が必要だ.

次に,睡眠障害が精神面に与える影響だ.

睡眠が充分に取れないことで,落ち着きがなくなり,不安で気持ちが暗くなり,怒りやすく,疲労を感じ無気力になるなどの症状を伴う場合がある.

さらに,吐き気を催したり片頭痛が起きたり,食欲が低下する場合もある.

行動的な影響としては,判断力や注意力が低下してしまい,失敗をしやすくなる.

そして,作業する時間や手間が,必要以上にかかってしまう.

人とあまり接することもなくなったり,仕事などでミスを多くすることもある.

睡眠障害の影響で,事故を起こす率が高くなり,交通事故を起こしてしまうこともあるので,大変注意が必要だ.

このように,睡眠障害は多岐に渡り影響を与えます.

だから,睡眠障害と疑われたら,自分の生活を向上させるために,なるべく早く専門の病院で相談に乗ってもらうことが大切だ.

睡眠障害による重大事故

睡眠不足は,実は重大な事故を引き起してしまう原因にもなるのだ.

アメリカのある報告によると,1979年に起きたスリーマイル島の原発事故や,1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故 ,そして1986年に起きたチェルノブイリ原発事故という大事故は,関係者が睡眠不足であったことが直接的な原因となったと指摘している.

睡眠が充分にとれないと,集中力が欠け,とっさの判断力ができなくなり,思いがけない失敗を起こすことがある.

電車やバスなどの運転手や,機械を操作するオペレーターなど,職業によっては人の命にかかわる場合もあるのだ.

重大な事故を引き起こさないためにも,睡眠についてしっかりと認識しなければいけない.

多くの調査の結果,睡眠不足の人は交通事故を起こす確率が,よく眠っている人に比べ2〜3倍となっている.

また,アメリカでは睡眠障害によって引き起こされる,交通事故などの経済的損失は,年間460 億ドルにものぼるようだ.

たかが睡眠不足と軽視してはいけないことが,この巨額のデータ結果からもわかると思う.

アメリカでは,人口の約15%の4,000 万人という多くの人たちが,睡眠に関しての異常をもっている.

これにより,アメリカでは「国立睡眠障害センター」が設立されました.

ここを拠点として,睡眠についての研究や医学的な教育,また,一般の人々にも理解してもらうような活動を展開している.

そのほかアメリカでは,24時間操業している工場において,働いている人々の健康を重視し,事故が起こらないように努めている.

日本ではまだ,睡眠障害や不眠症を個人的な問題だから,と片づけられてしまうことが多いようだ.

しかし,社会的に影響を与えることについて,日本でも催眠障害についてもっと考えなければいけないのだ.

うつ病には光療法

現在日本では,うつ病にかかっている患者は約360〜600万人といわれている.

中高年のうつ病の原因は,職場でのストレスなどの影響が多いようだが,13歳以下の子供の10%や,幼児の5〜10%がうつ病という驚くべきデータもある.

また,うつ病の患者が増える季節は,秋から冬の間といわれている.

原因はわからないが,体の調子がなんとなく良くない「仮面うつ病」を含むと,とても多くの人が悩んでいる病気なのだ.

うつ病の主な症状は,全身がだるくなり,疲労感があり何もやる気が出なかったり,イライラしたり,めまいや頭痛,動悸がするなど,さまざまだが,共通する症状では睡眠障害が起こる.

うつ病は,セロニンなどの脳内の神経伝達物質に異常が起こり,発症するといわれている.

セロトニンは,身体があたる太陽光線の量が多いと分泌されるようになる.

それにより,気持ちを高めて活動的にさせるのだ.

それとは逆に,光線量が減少すると,メラニンが多くなり,感情を抑えて体を休ませます.

一日の日照リズムのバランスが崩れると,睡眠障害が起き,ついにはうつ病となってしまうのだ.

そのため,最近では,光療法が日照リズムを改善させるのに効果があると,注目されている.

光療法とは,活発に活動する時間帯に,1時間ほど強い光線を浴びることによって,セロトニンの分泌量を増やし,体内時間を正しいものに回復させようというものだ.

光療法を受けた人の多くが,気持ちが晴れ晴れとして元気になり,そのうちにうつ病もだんだんとよくなるそうだ.

また,軽いうつ病の時期には,朝と夕方の日光浴だけでも,とても効果があるようだ.

睡眠相後退症候群について

睡眠障害で悩んでいる人の中には,少しずつ眠る時間が,毎日ずれて遅れていき,昼夜が逆転してしまう人もいます.

この睡眠障害を,睡眠相後退症候群という.

このような経験をした人は多いと思う.

たとえば,前日に夜更かししたことで,朝寝坊をしてしまい,その日の夜も早く寝付けず,そのまま夜型の生活になってしまうようなことだ.

それがとてもひどい人は,本人では直そうと努力していても,必ず,毎日少しずつ時間がずれていき,2〜3週間に一度は起きれずに,学校や仕事にも行けなくなることがあるようだ.

ただこの病気は,それが生活習慣の乱れなどから生じることも多く,確かな原因がわかれば,すぐに解決できるようだ.

人間は,もともと約24時間のリズムで生活している.

しかし,このリズムは,さまざまな環境因子で毎日修正されている.

たとえば,朝早い時間に日の光に当たれば,そのリズムは短くなる.

逆に,夜遅くに日の光に当たれば,リズムは長くなるのだ.

そして,昼前後に光に当たっても,あまりリズムの変化はない.

そのため,明るい部屋で夜更かししてテレビを見て,次の日の朝は寝坊して,光に当たるのが10時頃では,体内の時計は確実に遅れてしまうということだ.

健康ならば,多少夜更かししても,次の日に早起きすれば,また体内時計を進められ,正しい24時間に調節することができるのだ.

24時間のリズムが乱れて,悪循環になっている場合は,それをどこかで止めなければいけない.

最も理想的なのが,悪循環をリセットする日を設け,その期間は早寝早起きをすることだ.

そして,その期間は1時間程度太陽の光を浴びるようにする.

リセットできたら,その後も,また悪循環にならないように,規則正しい生活を心がけよう.

歯ぎしりについて

歯ぎしりは,そのまま放っておくと,二次障害としてさまざまな症状が現れる場合もある.

歯ぎしりは,歯やあごにとても大きなダメージを与えます.

実は,とても危険な歯ぎしりのことを,しっかりと知っておく必要があるのだ.

歯ぎしりは,それをしている本人は,全然気が付いていない.

それは,なぜなのだろうか? それは,寝ている間は,感覚器の伝達経路が断ち切られるためだ.

音が脳へ伝わるとき,覚醒の状態では,筋肉から脊髄を通る.

しかし,睡眠中は,この回路が働かなくなる.

つまり,周囲の人や家族に指摘されなければ,自分では歯ぎしりをしていることに,ほとんど気づくことないといっていいろう.

また,あまり音を出さなくて,ぎゅっと歯を噛み締めるような歯ぎしりも多いようだ.

そのため,自分は知らずに歯ぎしりをしている人は,意外と多いのだ.

それでは,なぜ歯ぎしりをするようになるのだろう.

それは,歯のかみ合わせが悪くなっているときに起きます.

たとえば,虫歯で歯が痛むときや,治療でかぶせた金属冠の高さが適合しないときなどに,かみ合わせが悪くなる.

そのほかの理由としては,精神的なストレスや,肉体的なストレスによる不安などを,歯ぎしりにより発散させている場合がある.

もっとも怖い二次障害は,いびきが睡眠時無呼吸症候群と深く関連していることだ.

はっきりとは両者の関係はよくわかっていないが,歯ぎしりをした後すぐに,睡眠時無呼吸症の症状が現れることがよくある.

睡眠時無呼吸症候群は,突然死につながる,とても恐ろしい病気なので,注意が必要だ.

歯ぎしりを治すには,専門科の医師に相談するのが,もっとも良いろう.

歯科医や口腔外科が専門としているので,そちらを受診しよう.